宮之原輝紀は同支部同期。デビュー当初からライバルと目されてきた。初勝利は宮之原が37走目に対して、栗城は12走目。デビュー期の成績では、1着は宮之原1勝に対して、栗城は4勝。2連対率は宮之原12.0％に対して、栗城は11.1％勝率は宮之原3.39に対して、栗城は3.35。まったく遜色ない成績で、まさしく好敵手という間柄と言えた。
　しかし、その後も順調に成績を伸ばしていく宮之原に対して、栗城はやや足踏み状態となってしまう。最大の理由はF禍で、スタートを決めて豪快にまくっていくスタイルが時に裏目に出たものだった。
　それでも、一歩一歩階段を上がっていった栗城は2020年に上昇気流に乗る。１月のボートレースバトルトーナメントで優勝戦1号艇に乗って話題を集めると、4月には嬉しいデビュー初優勝。さらに自身初のA1級昇級を決めた。2021年は持ち味の果敢な攻撃力で躍動し、大ブレイクを果たしたい。特にセンター戦からの思い切りのいい走りに注目！

　栗城匠は根性がある。学生時代、水泳や陸上・空手などをたしなんでいたが、テレビで知ったボートレーサーの道への意志は固く、中学3年生から受験していたという。
　しかし、合格は8回目だ。7回も落ちている。2次・3次まで進みながらあと一歩で実現ならずという苦杯を舐め続けてきたのだ。
　それでも、「くじけることはなかったです。あきらめなければかなうものだとあらためて知りました」と回顧している。
　念願の養成所に入っても苦境が待っていた。乗艇訓練になかなか参加させてもらえなかったのだ。
　「生活態度の問題…」と本人はいうが、礼と節の世界に飛び込んだ若者にとって乗り越えなければならない壁は大きかった。同期が乗艇を繰り返す中、心が折れてしまってもおかしくはない。
　しかし、栗城は違っていた。直訴するしかないと、教官に直接申し出るなどしたのである。自力で扉を開いたのだ。
　記念戦線でも位負けしない雰囲気はこういうところからやってくるのだ。